エボラ出血熱検査キット再びアフリカへ

 西アフリカにおけるエボラウイルス病のアウトブレイクの際に長崎大学熱帯医学研究所の安田二朗教授、黒﨑陽平助教らと東芝が共同開発し、日本政府からの緊急支援としてギニア共和国に無償供与されたエボラ出血熱検査キット(現在はキヤノンメディカルシステムズ社製)が、今度はエボラ出血熱の流行が続くコンゴ民主共和国に対して本年10月に日本政府から無償供与されました。
 コンゴ民主共和国では昨年8月から北東部の北キブ州、イトゥリ州でエボラ出血熱の流行が続いており、本年7月18日には世界保健機関(WHO)より「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」宣言が出されています。これを受け、日本政府が緊急支援を行うことを決定し、その支援の一環としてエボラ出血熱検査キット(1,000検査分、及び検査機器3台)が同国でエボラ出血熱の検査を担当している国立生物医学研究所(以下、INRB)(所在地:コンゴ民主共和国首都キンシャサ)に供与されました。 10月23日に検査試薬、11月20日に検査機器がINRBに到着したのを受け、感染症共同研究拠点の安田二朗教授、吉川禄助助教と医歯薬学総合研究科大学院生のモニ・ベネディクトさんが11月24日から12月7日までINRBを訪問し、現地検査者のトレーニング及び現在キヤノンメディカルシステムズ株式会社と共同開発している常温保存可能な検査試薬(2019年5月9日プレスリリース)の検証実験を実施しました。
 本常温試薬は国立研究開発法人日本医療研究開発機構(以下、AMED)「新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業」の研究課題である「ウイルス性出血熱に対する治療・診断・予防法等の開発に向けた研究」(研究開発代表者:安田二朗)で研究開発を進めているもので、エボラ出血熱だけでなく様々な感染症の診断にも応用可能であり、冷蔵・冷凍状態での検査薬の安定な輸送・保管が保証できない感染症発生地域での検査診断に役立つことが期待されています。


コンゴ民主共和国の地図(赤丸は昨年以降のエボラ出血熱の発生地、赤線は赤道)
 
供与された検査機器(左)とトレーニングの様子(右)

写真左から吉川助教、安田教授、ムエンベINRB所長(2019年野口英世アフリカ賞受賞者)、ベネディクトさん