アフリカのガボン共和国における新型コロナウイルス変異株に関する研究成果が医学分野のトップジャーナルThe Lancet Microbe誌のオンライン版に掲載されました。

 感染症共同研究拠点/熱帯医学研究所新興感染症学分野の安田二朗教授、阿部遥助教、牛島由理助教のグループとガボン共和国ランバレネ医療研究センター(CERMEL)およびリーブルビル保健科学大学との共同研究によるガボン共和国の新型コロナウイルス変異株に関する研究成果が2021年6月8日付で医学誌「The Lancet Microbe」のオンライン上で発表されました。

 本研究成果はガボン共和国における新型コロナウイルス変異株に関する最初の報告であるとともに、2020年12月から2021年3月にかけて旅行者を介してガボン共和国に持ち込まれた変異株の系統および旅行者の出発地を調査したものであり、英国型変異株(B.1.1.7およびB.1.525)や南アフリカ型変異株(B.1.351)がかなり早い段階からガボン共和国に侵入していたことを明らかにしました。

 安田教授らのグループは2016年より日本医療研究開発機構(AMED) と国際協力機構(JICA) の共同事業「地球規模課題対応国際科学技術協力(SATREPS)」の研究課題「公衆衛生上問題となっているウイルス感染症の把握と実験室診断法の確立」をガボン共和国で実施しており、現地でのウイルス感染症の実態調査と診断システムの開発と導入、そして人材育成を行っています。同国における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行に先駆けて現地共同研究機関CEREMELで診断ができるようCOVID-19診断法の導入と現地研究者のトレーニングを実施しており、流行初期からCERMELがガボン国内におけるCOVID-19主要検査機関として活躍するサポートを行ってきました。

 今回の成果は、SATREPS事業でCERMELに導入した遺伝子解析システムを活用し、現地で活動する阿部助教が中心となり、検査検体中のウイルス遺伝子の塩基配列決定および系統解析を行った結果をまとめたものです。

 サブサハラアフリカではCOVID-19に関する学術的な報告が少ないため、本研究成果はガボン共和国を含む中部アフリカ諸国における新型コロナウイルス感染症の感染拡大機序を知る重要な手掛かりとなることが期待できます。

図:旅行者によりガボン共和国に持ち込まれた変異株系統及び出発地情報


<論文情報>
タイトル: SARS-CoV-2 emerging variants in Africa: view from Gabon

(アフリカに侵入しつつある新型コロナウイルス変異株:ガボン共和国からの見解)

  

https://www.thelancet.com/journals/lanmic/article/PIIS2666-5247(21)00125-7/fulltext