新型コロナウイルス等の感染を阻害する新たな標的の同定

 国立大学法人長崎大学感染症共同研究拠点の浦田秀造准教授、鹿児島大学大学院理工学研究科の石川岳志教授らは、新型コロナウイルス (SARS-CoV-2)及び出血熱を引き起こすラッサウイルスのモデルウイルスとして知られるリンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス (LCMV)に対して、両ウイルス間に共通する新たな抗ウイルス標的を同定しました。本研究成果を元としたSARS-CoV-2等の新規抗ウイルス薬の開発が期待されます。

 本研究は2021年6月24日に国際学術誌「Viruses」に掲載されました。


【URL】

https://www.mdpi.com/1999-4915/13/7/1220


【概要】

 SARS-CoV-2は高い感染力を持ち、公衆衛生上の脅威となっています。また、病原性が非常に高いラッサウイルスを含むアレナウイルス科に対する認可されたワクチンや抗ウイルス薬はありません。今回、浦田准教授らはSARS-CoV-2とアレナウイルス科のLCMVに共通するウイルスタンパク質の酵素機能に着目し、この機能の阻害が両ウイルスの感染を抑制することを、計算科学的手法とウイルス学的手法を用いて世界で初めて明らかにしました。

 SARS-CoV-2に対しては現在、複数のワクチンや抗ウイルス薬が開発されていますが、浦田准教授らが今回着目した酵素機能部位に対する新規薬剤の開発は、病原性が高いラッサウイルスのみならず変異株を含むSARS-CoV-2の感染に対する治療に繋がることが期待されます。


【本研究のトピックス】

・SARS-CoV-2のタンパク質の一つであるnsp14に含まれるエキソヌクレアーゼ (酵素)活性部位を標的とした化合物がウイルスの感染を抑制した。

・LCMVのタンパク質の一つであるNPに含まれるエキソヌクレアーゼ (酵素)活性部位を標的とした化合物がウイルスの感染を抑制した。


【論文タイトルと著者】

タイトル

 The antiviral effect of the chemical compounds targeting DED/EDh motifs of the viral proteins on Lymphocytic Choriomeningitis virus and SARS-CoV-2


著者

 ヌグェ トン ミャ ミャッ (長崎大学熱帯医学研究所 ウイルス学分野 助教)

 森田 公一 (長崎大学熱帯医学研究所 ウイルス学分野 教授)

 石川 岳志 (鹿児島大学大学院理工学研究科 工学専攻 教授) 

 浦田 秀造 (長崎大学感染症共同研究拠点/熱帯医学研究所 准教授)


掲載誌

Viruses

Vol.13 (7), 1220-1230, 2021