BSL-4施設は、HEPAフィルターの信頼性だけに頼っているのではなく、陰圧制御を含む「構造・システム」で、ウイルスの漏出を防ぎます。

①そもそもウイルスは、「安全キャビネット」内部やBSL-4施設内の実験室の中を浮遊しているわけではありません。
 実験の際、ウイルスは培養液や緩衝液などの液体中に含まれた状態で容器内にあり、さらに、容器を開封する作業は「安全キャビネット」と呼ばれる実験設備の中で行われます。そもそも取り扱いのミス等がなければ、このキャビネット内部にウイルスが浮遊している状態にはなりません。
この「安全キャビネット」は空気がキャビネットの内側に向かって流れる構造になっており、キャビネット内の空気はすべてHEPAフィルターを通して室外に排出され、さらに室外に設置された多層のHEPAフィルターを通して外部に排出されます。
実験室の中もウイルスが浮遊している状況になることは現実には考えられません。

②万が一、実験室内に漏出したとしても、陰圧制御とHEPAフィルターにより、BSL-4施設からのウイルスの漏出は現実には考えられません。
 実験室の出入り口は陰圧制御されており(つまり実験室外の方が気圧が高く、実験室外に空気が流れにくい)、また、実験室の排気ダクトには捕捉率99.97%のHEPAフィルターが二重に設置されているため、実験室外にウイルスが漏出する危険性は現実には考えられません。
さらに、BSL-4施設の内外においても、陰圧制御がなされており、BSL-4施設外への漏出を防いでいます。

③WHOによるHEPAフィルターの能力の評価その他
 HEPAフィルターの能力に関しては、WHOは、“LaboratoryBiosafetyManual(実験室バイオセーフティ指針)”2004年第3版のP51に、「HEPAフィルターは、直径0.3μmの粒子は99.97%、直径0.3μmより大きいか、より小さいサイズの粒子を99.99%捕捉する。これは事実上、HEPAフィルターがすべての既知の病原体を効果的に捕捉することを可能にし、無菌の空気だけがキャビネットから放出されることを保証する。」と記載しています。
 世界で初めてBSL-4施設が稼働して以来約50年、ウイルスの外部への漏出事例が全く報告されていないのは偶然ではなく、こうした技術や工夫・努力によって達成されていると考えられます。