発表論文:First evidence of tick-borne encephalitis (TBE) outside of Hokkaido Island in Japan 日本語解説

<TITLE>
First evidence of tick-borne encephalitis (TBE) outside of Hokkaido Island in Japan
Emerg Microbes Infect. 2023 Dec;12(2):2278898. doi: 10.1080/22221751.2023.2278898. Epub 2023 Nov 14.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37906509/

高度感染症研究センターの発表論文一覧

マダニによって媒介され人や動物に重篤な脳炎が認められるダニ媒介性脳炎(TBE)はユーラシア大陸で広く流行しています。日本ではこれまで北海道において5例の患者が報告されていますが、北海道外では報告されていませんでした。日本では原因となるTBEウイルス(TBEV)に対する検査体制は十分ではなく、TBEV抗体を持つ野生動物が北海道でも確認されていることから、本研究では原因不明の脳炎または髄膜炎の患者の検体を後方視的に検査し、診断にいたらなかったTBEV感染についての調査を行いました。
全国15施設から集められた520例の患者検体を調査したところ、北海道外の施設の患者3例においてTBEV感染が確認されました。
本研究は、北海道外でのTBEV感染例を示した初めてのものであり、今後も本症の周知と検査体制の確立が重要であると考えられます。

本研究は、ファイザー株式会社の出資のもと、国立精神・神経医療研究センター(共同筆頭著者:臨床検査部・医長 大平雅之)、長崎大学高度感染症研究センター(共同筆頭著者:研究部門ウイルス生態研究分野・教授 好井健太朗)、ファイザー株式会社の共同研究として実施されました。