長崎大学高度感染症研究センターとは

長崎大学高度感染症研究センターは、高い安全性が確保された実験施設(BSL-4施設)を整備し、その施設を用いた感染症研究を推進することにより、人類に貢献することを目的としています。また、高度な感染症研究やバイオリスク管理を担う人材を育成することに努めます。

本センターは、2017年に設置された感染症共同研究拠点を前身としており、2022年4月から長崎大学附置研究所として部局化するに際し、「高度感染症研究センター」と名称を新たにしました。また、全国の関連研究者の共同利用・共同研究拠点「新興感染症制御研究拠点」として文部科学省に認定されました。

諸外国のBSL-4施設を有する研究機関との連携を進めるとともに、全国の関連研究者のBSL-4施設を用いた研究活動を支援します。

センター長あいさつ


長崎大学高度感染症研究センター
センター長 栁 雄介

 長崎大学高度感染症研究センターは、高度安全実験施設(BSL-4施設)を使って、感染症の基礎研究および応用研究(ワクチンや治療法の開発)を行うことを目的としています。

 近年、気候変動や環境破壊により人類が新しい病原体と遭遇する機会が増加しています。また、交通網の発達とグローバル化で多くの人や物が移動することにより、地球上のどこかで発生した感染症は短期間で他地域に飛び火し、さらには世界中で蔓延する危険性が高まっています。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックは、まさしくその典型的なものです。

 世界保健機関 (WHO)は、このような新興感染症のうち、流行が起こると世界的に大きい影響を及ぼすことが予想されるものをpriority diseasesとして、優先的に研究や対策を進めるべきだとしています。中でも、エボラウイルス病、ラッサ熱、クリミア・コンゴ出血熱、へニパウイルス感染症などは致死率が高く、有効な予防法や治療法がないため、原因となる病原体の取り扱いには高度な安全機能を備えた実験施設(BSL-4施設)が必要です。BSL(biosafety level)は、実験施設の安全機能のレベル(1~4に分類)を意味しており、最もレベルの高いものがBSL-4です。

 現在、BSL-4施設は世界中で20数か国に60施設以上存在します。わが国では、約40年前に建設された国立感染症研究所の施設が唯一のものであり、診断と治療目的にのみ使用が認められています。BSL-4病原体の研究を進めるとともに、万一の国内発生に備えるために、最新設備を備えたBSL-4施設の建設がわが国でも求められてきました。

 このような背景のもと、2010年に長崎大学はBSL-4施設設置の検討を開始することを学長メッセージとして公表し、2016年には、国の関係閣僚会議で、長崎大学のBSL-4施設設置計画を支援することが決定されました。これを受けて、感染症共同研究拠点が創設され、2021年7月にBSL-4施設が竣工しました。現在、施設の機能・安全性の検証と必要なトレーニングを行い、BSL-4病原体を使った本格稼働に向けて準備を進めています。感染症共同研究拠点は、2022年4月から附置研究所「高度感染症研究センター」として新たに出発することになりました。また、全国の関連研究者の共同利用・共同研究拠点として文部科学省から認定されました。

 本センターでは、長崎大学と日本全国の研究者が協力して、BSL-4施設を用いた感染症研究を推進することを目指します。さらに、BSL-4病原体を安全に取り扱うことができる研究者とバイオリスク管理の専門家の養成も重要な任務としております。しかし、最も重要なことは、地域住民の方々のご理解と信頼を得つつ、BSL-4施設を安全に運用していくことです。そのために、最大限の注意を払い慎重に準備や運用を進めてまいります。皆様のご理解とご協力をどうぞよろしくお願い申し上げます。


2022年4月

長崎大学高度感染症研究センター長 栁 雄介