発表論文:Marburg virus exploits the Rab11-mediated endocytic pathway in viral-particle production. 日本語解説

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Marburg virus exploits the Rab11-mediated endocytic pathway in viral-particle production.

Microbiol Spectr. 2024 Jul 30:e0026924. doi: 10.1128/spectrum.00269-24. Epub ahead of print. PMID: 39078193.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39078193/

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 マールブルグウイルスは、エボラウイルスと同じフィロウイルス科に属しており、高い致死率を伴うマールブルグ病を引き起こします。これまでアフリカにおける散発的なアウトブレイク発生例が報告されていますが 、承認された治療法は未開発です。マールブルグウイルスがコードする主要マトリクスタンパク質(VP40)は、ウイルス粒子形成に重要であることが報告されていますが、詳細な分子機構については明らかになっていません。
本研究では、VP40の細胞内輸送に着目して解析を行い、VP40が、small GTPase Rab11を介した細胞表面への小胞輸送を亢進すること、またこのプロセスにおいて、VP40と細胞骨格系の相互作用が重要であることを世界に先駆けて明らかにしました。また、この結果は、米国の高度安全実験施設における野生型ウイルスを用いた解析でも実証されました。
既存のフィロウイルスに対する治療法は、主にウイルス侵入とゲノム複製を標的にしており、ウイルス粒子形成を標的とした治療法は未開発です。今後、本研究を、ウイルス粒子形成を標的とした新規治療薬探索へと展開することで、マールブルグウイルス病の制御に繋がることが期待されます。